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  1.4 天の川の起源i

 ミュケナイ王エレクトリュオンの娘アルクメネは、人間界で最も美しく、賢い女性であった。アルクメネの婚約者アンピトリュピオンが牛を追うために投げた棒が運悪くエレクトリュオンに当たり、エレクトリュオンは死んでしまった。アンピトリュオンは王殺しの罪で国外に追放され、婚約者アルクメネと共にテバイ王国に逃れた。アンピトリュオンは亡き王エレクトリュオンの思いを継いで、タポス島に出陣した。

 ゼウスは夫アンピトリュオンに変身してアルクメネと一夜を過ごす。アルクメネは、次の日には本当の夫アンピトリュオンと正式に結ばれた。ゼウスは「今度生まれるぺルセウスの子孫がペルセウス一族の長になる」とオリンポスの神々の前で宣言した。ゼウスの浮気に気づいていたヘラは、お産の女神エイレイテユイアに命令し、アルクメネの出産を1日遅らせた。そのため、ペルセウスの子であるミュケナイ王ステネロスの子、エウリュステウスが先に生まれた。よって、エウリュステウスは後にミュケナイ王になった。

 アルクネメとゼウスの子はアルケイデスと名づけられた。後の英雄ヘラクレスである。アルクメネは1日遅れでアンピトリュオンとの子を出産し、イピクレスと名づけられた。それゆえ、母アルクメネも子アルケイデスも、ヘラから目の敵にされた。

 アルケイデスが生後8か月の頃、ヘラはアルケイデスの寝室に2匹の蛇を送った。しかし、2匹の蛇がアルケイデスの喉(のど)に絡みついた時、アルケイデスは目を覚まし、両手で蛇を握りつぶした。

 アルケイデスの身を案じたアルクメネは、予言者テイレシアスの指示でアルケイデスを捨てた。ゼウスは、アテナに頼んでヘラを下界に誘い出してもらった。そうとは知らないヘラは、捨て子を見つけて乳を飲ませた。力もちのアルケイデスは、ヘラの乳を強く吸ったので、ヘラの乳が飛び散った。こうして、天の川が出来た。そして、ヘラの乳を飲んだヘラクレスは史上最強の人間となった。

ティントレット「天の川の起源」

1578-80年頃、油彩、148×165cm、ナショナル・ギャラリー、ロンドン

ユピテル(ゼウス)がヘラクレスにユノ(ヘラ)の乳を飲ませようとした。ヘラクレスが強く吸ったので、乳が飛び散って天の川ができた。

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