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                   2.1 パンドラの箱i

 アトラスとプロメテウス

 ティタン12神の1人であるイアペトスの子にアトラス,プロメテウス(先に考える者)、エピメテウス(後から考える者)がいた。

ティタン族とゼウス率いるオリンポス族が抗争に明け暮れる中、アトラスは父イアペトスとともにティタン族側についた。それゆえ、アトラスはゼウスの怒りを買い、天が落ちないように支えつづけるという罰を与えられた。それがアトラス山脈である。

 プロメテウスは、初めからゼウスの味方で、命令に従って粘土で人間を作った。人間は知恵はあるが、他の動物よりも弱い。そこで、プロメテウスが人間に火を与えようと考えた。ゼウスは「人間に火を与えれば殺戮につながる」と考えて反対した。だがプロメテウスは人間の理性を信じ、ゼウスに逆らって火を与えた。

 ゼウスは激怒し、プロメテウスをカフカスの山の斜面の巨岩に磔にした。大鷲が毎日やって来てはプロメテウスの肝臓をついばむ。神は不死である上に肝臓は毎日再生するから、拷問は半永久的に続く。

 人類初の女性パンドラ

 ゼウスは火を得た人間の世界に災厄をもたらそうと考えた。そこで、人間界で暮らすエピメテウスに、妻としてパンドラを与えた。

 パンドラ(すべての神からの贈り物)は鍛冶の神ヘパイストスが作った人類初の女性である。容姿はアプロディテ(ヴィーナス)に似た絶世の美女である。そればかりか、心身ともにあらゆる徳目を与えられて作られた「完全な女性」であった。

 ゼウスはパンドラに決して開けてはならない壺を持たせた。だが、パンドラは開けてしまった。その壺から、あらゆる悪徳が飛び出した。だが、1つだけいいものがあった。それは「希望」である。

 パンドラの壺によって堕落した人間に、ゼウスは怒り、大洪水を起こした。プロメテウスの息子デウカリオンとエピメテウスの娘でデウカリオンの妻ピュラだけが箱舟で生き残った。2人はテミス(掟)の指示で新しい人間を作った。

 神話では、ここまでが「青銅の時代」であり、ここから「鉄の時代」となる。 

[左] 「アトラス」 ナポリ国立考古学博物館のグランドホール。天球(全宇宙)を背負わされている。

[中] モロー「プロメテウス」 1868年、モロー美術館、パリ。毎日、大鷲に肝臓をついばまれる。

[右] ルフェーヴル「パンドラ」 箱を手にしている。

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